「第三者」と呼ばれる機関には、三つの系統がある
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本ページは各社の公式サイトと公開資料から確認できた事実項目だけを並べています。順位付けや優劣の判断は行いません。確認できない項目は「公式サイト参照」と表記しています。
環境表示やESG開示の信頼性を支える「第三者」は、実は一種類ではありません。大きく分けると、認証機関(国際的な検査・認証グループとその日本法人、国内の財団法人や認証会社)、監査法人系のサステナビリティ会社、そして個別の領域に強みを持つ専門会社の三つの系統があります。それぞれ、扱う対象も、準拠する基準も、成果物の形も異なります。
たとえば、製品の環境ラベルや環境マネジメントシステムの認証は、認証機関が担うのが一般的です。一方、サステナビリティ報告書の数値や温室効果ガス排出量に対する保証は、国際保証業務基準(ISAE)3000や、温室効果ガス報告に関するISAE 3410に準拠して行われるのが通例です。温室効果ガスの「検証」では、ISO 14064-3が使われます。同じ「第三者による確認」でも、検証と保証、認証は別のものです。
本ページは、この三つの系統から、日本国内の公式サイトや公開資料で事業内容を確認できた10者を選び、事実項目で並べています。ここに挙げた以外にも、検証や保証を提供する機関は国内外に多数あります。掲載の有無や並び順は、優劣や推奨を意味しません。
【比較表】環境表示・ESG開示の第三者検証・保証機関と事実項目
| 機関 | 親組織・ネットワーク | 事業形態 | 公式サイト等で確認できた対応領域 | 準拠規格の公表 | 国内拠点 | 公表実績の有無 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SGSジャパン株式会社 | SGSグループ(スイス) | 検査・認証会社 | GHG排出量検証、サステナビリティ報告書の第三者保証、CDP・SBT申請の支援(2018年版の日本語資料) | ISO 14064-1に基づく検証を資料に記載 | 神奈川県横浜市(2018年版資料の記載。最新の所在地は公式サイト参照) | あり(東京都・埼玉県の排出量取引制度の検証を資料に記載) |
| ビューローベリタスジャパン株式会社 | ビューローベリタスグループ(1828年にフランス船級協会として設立と記載) | 検査・認証会社 | 「社会、倫理、ガバナンス」「クリーンエネルギー・再生可能エネルギー」ほか6分野。サプライチェーンマネジメント、企業の責任と持続可能性の認証 | 公式サイト参照 | 公式サイト参照(建築確認、建物定期検査などの関連事業を掲載) | あり(CBAM検証サービスの認定取得を2026年10月5日付で掲載) |
| 一般財団法人日本品質保証機構(JQA) | 国内の一般財団法人 | 検査・認証機関 | GX-ETSの第三者検証、SSBJ基準やCDP対応の第三者検証、ISO 9001・14001・42001などの認証 | 公式サイト参照 | 公式サイト参照 | あり(検証・認証サービスのページを掲載) |
| LRQA | 登記上の本店は英国(公式サイトのフッターに記載) | 認証・保証機関 | GHG排出量の妥当性確認・検証、保証声明書の発行、ギャップ分析、労働安全衛生・エネルギーマネジメント等の保証 | ISO 14064-3:2006に準拠と記載 | 公式サイト参照 | あり(CDPによる認定を含め外部から認められていると記載) |
| DNV(日本ではDNVビジネス・アシュアランス・ジャパン) | ノルウェー・オスロに本部を置く独立財団(1864年設立と記載) | 保証・リスクマネジメント機関 | サステナビリティ経営の支援、人権リスク管理、サステナブルファイナンスの評価(トランジションファイナンス、ブルーファイナンス)、マネジメントシステム認証 | 公式サイト参照 | 国内拠点の案内あり(所在地は公式サイト参照) | あり(世界で8万件の認証実績と記載) |
| 株式会社日本環境認証機構(JACO) | 公式サイト参照 | マネジメントシステム認証機関 | ISO 14001・9001・45001・27001などの認証、CSR・ESG検証、食品安全認証(FSSC)、統合審査 | 公式サイト参照 | 公式サイト参照 | あり(認証取得事例のお知らせを掲載) |
| KPMGあずさサステナビリティ株式会社 | KPMGジャパン(あずさ監査法人と連携) | 監査法人系の専門会社 | サステナビリティ情報の保証、温室効果ガス排出量の検証(東京都・埼玉県の制度、環境省のASSET制度など)、SSBJ基準の準備支援 | 公式サイト参照 | 東京都千代田区大手町、名古屋事務所(2025年7月開所) | あり(保証報告書の発行数を資料に記載) |
| EY新日本有限責任監査法人(EY Japan) | EYネットワーク | 監査法人 | 非財務情報の保証・開示アドバイザリー、気候関連情報開示の準備支援、EHS支援、人権アドバイザリー | 公式サイト参照 | 東京都千代田区ほか(拠点一覧は公式サイト参照) | あり(サステナビリティ開示・保証業務認定者制度を2022年7月から運営) |
| デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社 | デロイト トーマツ グループ | 監査法人系の専門会社 | CSR・環境報告書の第三者保証、GHG排出量・削減量の検証、国連CDMの有効化審査・検証 | ISAE 3000に準拠と記載 | 東京都千代田区丸の内 | あり(1998年に日本で初めて環境報告書の第三者保証を実施と記載) |
| PwCサステナビリティ合同会社 | PwCグローバルネットワーク | 監査法人系の専門会社 | サステナビリティ情報の第三者保証、ESG情報開示のコンサルティング、GXリーグ排出量実績報告書の第三者検証 | ISAE 3000およびISAE 3410に準拠と記載 | 東京都千代田区大手町 | あり(保証サービスのページを掲載) |
2026年10月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。
比較表の読み方:検証・保証・認証を取り違えない
表の「準拠規格の公表」の列は、公式サイトや公開資料に、準拠する規格名が書かれているかどうかを示したものです。規格名が書かれていないことは、その規格に対応していないことを意味しません。「公式サイト参照」としている項目は、確認の時点で数値や規格名を読み取れなかったものです。
また、「公表実績の有無」の「あり」は、公式サイトなどで具体的な取り組みや実績が公開されているという意味に限られます。規模や品質を評価するものではありません。複数の機関が「あり」であっても、実績の中身(数、対象、期間)は機関ごとにまったく異なります。実際に依頼先を検討する場合は、自社の対象(製品、事業所、報告書)と、必要な水準(限定的保証か合理的保証か)、準拠させたい基準を先に決め、それに対応しているかを各社に確認するのが現実的です。
金融庁が2026年1月に公表したワーキング・グループ報告は、サステナビリティ情報の開示基準の適用に続いて、第三者保証の制度を導入する方向を示しています。保証の担い手や基準は、今後の制度整備で変わる可能性があります。制度の動向はESG情報開示と保証で整理しています。
各機関のプロフィール:公式情報から確認できる事実
SGSジャパン:検査・認証グループの日本法人
SGSジャパンは、SGSグループの日本法人です。2018年版の日本語資料では、神奈川県横浜市に本社を置くとされ、ISO 14064-1に基づく温室効果ガス排出量の検証、東京都と埼玉県の排出量取引制度に関する検証、CDP対応、SBT(科学的根拠に基づく目標)の申請支援、サステナビリティレポートの第三者保証などが、サービスとして挙げられています。グループとしては、2025年1月に温室効果ガス検証会社の買収を発表しています。資料の年次が古いため、現在のサービス範囲と所在地は公式サイトで確認してください。
ビューローベリタスジャパン:幅広い分野を持つ検査・認証グループ
ビューローベリタスは、1828年にフランス船級協会として設立されたと、日本語サイトで紹介されています。サービス分野は、資源と製造、消費とトレーサビリティ、建物とインフラストラクチャー、新しいモビリティ、クリーンエネルギー・再生可能エネルギー、社会・倫理・ガバナンスの6分野に整理されています。認証関連では、企業の責任と持続可能性、サプライチェーンマネジメントなどを掲載しています。公式サイトには、CBAM検証サービスの認定取得や、Scope 3算定手法に関するSBTi承認といったニュースが載っています。
日本品質保証機構(JQA):国内の財団法人の認証機関
日本品質保証機構は一般財団法人で、品質や環境のマネジメントシステム認証、各種試験を行う機関です。公式サイトでは、GX-ETS(排出量取引制度)で義務化された排出量の算定・報告と第三者確認(検証)の案内、SSBJ基準やCDP対応に関する第三者検証の案内、ISO 9001、ISO 14001、ISO/IEC 42001などの認証サービスが掲載されています。環境ラベルやカーボンフットプリントに関する記載は、今回確認したトップページには見当たりませんでした。
LRQA:GHG検証と保証声明書を提供する認証・保証機関
LRQAの日本語ページは、温室効果ガスの妥当性確認と検証を、ISO 14064-3:2006に準拠して行うと説明しています。妥当性確認は、プロジェクトの設計データや文書をレビューして検証意見書を出すもの、検証は、報告された気候変動データが正確で公正かつ信頼できるかを確認するものと、区別して書かれています。検証の完了後には、契約条件、適用した保証水準と重要性、意見を示す保証声明書が提供されます。既存のGHG管理システムを見直すギャップ分析も、サービスとして案内されています。
DNV:ノルウェーに本部を置く保証・リスクマネジメント機関
DNVは、ノルウェー・オスロに本部を置く自主独立の財団として1864年に設立されたリスクマネジメント機関と、日本語サイトで紹介されています。100を超える国で事業を展開し、認証サービスは世界で8万件と記載しています。サステナビリティの分野では、持続可能な経営の支援、人権リスク管理と人的資本の支援、トランジションファイナンスやブルーファイナンスといったサステナブルファイナンスの評価が挙げられています。日本法人の詳細は公式サイトでご確認ください。
JACO:マネジメントシステム認証が中心の認証機関
日本環境認証機構は、マネジメントシステム認証を提供する認証機関です。ISO 14001(環境)、ISO 9001(品質)、ISO 45001(労働安全衛生)、ISO/IEC 27001(情報セキュリティ)などの認証に加え、CSR・ESG検証、食品安全認証、統合審査を提供すると、公式サイトに記載されています。業界経験のある審査員による現場重視の審査、年間を通じたフォーラムやセミナー、新規格への迅速な対応を強みとして掲げ、国際相互承認に加盟する認定機関の認定を受けていると説明しています。
KPMGあずさサステナビリティ:サステナビリティ分野の保証とアドバイザリー
KPMGあずさサステナビリティは、2004年に設立され、サステナビリティ分野のアドバイザリーと、非財務情報の信頼性を高める第三者保証を手がける会社です。本社は東京都千代田区大手町にあり、2025年7月1日に名古屋事務所を開設しました。温室効果ガスの検証では、東京都や埼玉県の排出量取引制度、環境省のASSET制度を例に挙げ、外部の契約検証人を使わず、同社の職員が自ら実施すると説明しています。サステナビリティレポートの保証の実績や、SSBJ基準の準備支援の実績が、公表資料に記載されています。
EY新日本有限責任監査法人:サステナビリティ開示と保証の人材育成
EY新日本有限責任監査法人は、非財務情報の保証・開示アドバイザリー、企業の気候変動対応と気候関連情報開示、環境・労働安全衛生(EHS)の支援、サステナビリティ経営コンサルティング、人権アドバイザリーなどを、公式サイトで案内しています。「サステナビリティ開示・保証業務認定者制度」を2022年7月から運営し、2026年6月末時点で3,679名を認定したと発表しています。温室効果ガスの検証については、確認したページに記載がなく、公式サイトの別ページを参照する必要があります。
デロイト トーマツ サステナビリティ:環境報告書の保証と国連CDMの検証
デロイト トーマツ サステナビリティは、2001年5月に設立された会社で、所在地は東京都千代田区丸の内です。CSR・環境報告書の第三者保証、国連CDMの有効化審査・検証・認証、温室効果ガスの排出量・削減量の検証などの保証・検証サービスを提供しています。1998年に日本で初めて環境報告書の第三者保証を実施して以来の経験があり、国際保証業務基準(ISAE)3000に準拠して環境・社会性情報の保証が可能と、公式サイトに記載されています。
PwCサステナビリティ:保証から出発した専門会社
PwCサステナビリティ合同会社は、東京都千代田区大手町に所在し、PwCのグローバルネットワークと連携しています。設立当初は環境・サステナビリティ情報の保証を主な任務としていましたが、その後、長期ビジョンやサステナビリティ戦略の策定支援、ESG情報開示のコンサルティング、ESG情報のデューデリジェンスなどに領域を広げたと説明されています。第三者保証は、ISAE 3000と、温室効果ガス報告に関するISAE 3410に準拠して行われ、GXリーグの排出量実績報告書の第三者検証も提供しています。
