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GREEN CLAIMS COMPLIANCE

日本の環境表示ルールを、
条文・指針・実例で読む

景品表示法の二つの条文と、改定された環境表示ガイドライン、環境ラベルの種類、生分解性表示の措置命令を、一つの流れとして確認します。

緑の葉型の無地タグが付いた紙製の商品パッケージが棚に並ぶ写真
環境ラベルの確認

景品表示法は、環境表示のどこを見ているのか

最終更新日:

措置命令は消費者庁の公表ページにある事実を、公表日つきで記しています。個別の事業者の評価は行いません。

環境に関する表示は、景品表示法の「表示」に当たる限り、他の商品・サービスと同じ土俵で審査されます。環境省の説明資料によれば、景品表示法上の「表示」は、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品や役務の取引に関する事項について行う広告その他の表示を指し、商品や容器、包装による表示、チラシやパンフレット、ポスターや看板、新聞や雑誌、インターネット上の表示まで、広い媒体が含まれます。環境に限られない一般的な概念であるため、環境に配慮した商品であることを示す表示も、環境広告という特別な区分ではなく、通常の表示規制の対象です。

第5条第1号:実際より著しく優良と誤認させる表示

第5条第1号は、商品やサービスの品質、規格などの内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁じています。環境表示で問題になりやすいのは、「分解される」「環境への負荷が小さい」といった環境性能の表示が、実際の性能や使用条件と合っているかどうかです。ここでの判断は、表示を受け取った一般消費者が、どのような印象を持つかを基準に行われます。事業者が意図したかどうかではなく、表示全体から受ける印象が実態とずれていないかが問われます。

第7条第2項:根拠を示せない表示は、優良誤認とみなされる

第7条第2項の不実証広告規制は、環境表示の実務で最も重い意味を持つ規定の一つです。消費者庁が、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求め、事業者が期間内に提出しなかった場合や、提出した資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠と認められない場合には、その表示は優良誤認表示とみなされます。つまり、表示が正しいかどうかを行政が立証するのではなく、根拠があることを事業者の側が示す構造になっています。

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環境省の環境表示ガイドラインのコラムは、合理的な根拠を示す資料の要件を二つに整理しています。一つは、提出資料が客観的に実証された内容のものであること。もう一つは、表示された効果や性能と、提出資料によって実証された内容が適切に対応していることです。たとえば、特定の試験条件でのみ確認された分解性能を、あらゆる環境で分解するかのように表示すれば、資料があっても対応が取れていないことになります。根拠資料は「あるかどうか」だけでなく、「表示の範囲とそろっているか」で点検する必要があります。

改定された環境表示ガイドラインの読みどころ

環境省は、環境表示のあり方を整理した「環境表示ガイドライン」を2013年3月に改定した版から、事業者が自己の責任で環境表示を行う際に注意すべき点を更新し、2026年3月31日に公表しました。ガイドラインは、自己宣言による環境表示を行う事業者と事業者団体を主な対象とし、あわせて製品などの認証を行う第三者機関にも参考になるよう、情報提供のあり方を整理したものと説明されています。供給者側の信頼性の確保が、消費者の合理的で自主的な選択と、市場の健全な成長につながる旨も明記されています。

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三段階の構成:5つの基本項目、国際規格への準拠、推奨事項

構成は三つの段階になっています。第一段階は、最初に確認してほしい「5つの基本項目」で、イラストを用いて分かりやすく示されています。第二段階は、自己宣言による環境主張に関する国際規格ISO 14021(日本産業規格JIS Q 14021)への準拠で、用語の使用条件や説明文の要求事項が詳しく解説されています。第三段階は、国際規格に加えて取り組むことが望ましい推奨事項です。巻末の別冊には、国内外の環境表示に関する規制やガイドラインが参考情報としてまとめられています。

5つの基本項目の中身

  • あいまいな表現や環境主張は行わないこと。行う場合も単独では行わず、合理的な説明文を付ける
  • 環境主張の内容に、説明文を付けること
  • 製品のライフサイクル全体を考慮すること
  • 環境主張の検証に必要なデータと評価方法を提供でき、情報にアクセスできること
  • 製品や工程における比較主張は、ライフサイクルアセスメント(LCA)による評価や数値などで適切に行うこと

あいまいな表現として、環境省の資料はISO 14021に由来する用語を例示しています。「環境に安全」「環境にやさしい」「地球にやさしい」「無公害」「グリーン」「自然にやさしい」「オゾンにやさしい」「持続可能」などが、特定の用語として挙がっています。こうした言葉は、受け取る人によって意味が広がりやすいため、単独で使わないことが求められます。木や水、海、山といった自然の映像や、青や緑の色使いのように、文字ではない形で環境への配慮を暗示する表現も、体系図の中で整理されています。

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適用の範囲が広がった点に注意

適用範囲は、景品表示法の対象となる広告や表示全般に加え、商品や役務の取引に直接関係のない環境表示にも及びます。事業活動、イメージ広告、企業姿勢などが典型です。環境省の資料は、製品などに直接関連しない企業姿勢やイメージ広告、銘柄名、ブランド名(製品名、シリーズ名、企業名)に関する環境表示についても、あいまいな表現を使わない、説明文を付けるといった要求事項を説明するとしています。商品の表示だけでなく、サステナビリティ報告書やコーポレートサイトの文言まで点検の対象になりうる、という整理です。

環境ラベルの種類:誰が、どの規格で、何を保証するのか

環境ラベルは、国際規格ISO 14020シリーズで整理されてきました。見た目が似ていても、ラベルを出す主体、審査の有無、根拠となる規格が異なるため、表示の信頼性を読み取るには、この違いを知っておく必要があります。

  • 第三者認証のラベル(従来のタイプⅠ):ISO 14024に基づき、第三者が基準への適合を認証する。環境省の掲載ページは、エコマークを、ISO 14024に則った我が国唯一の第三者認証によるタイプⅠの環境ラベル制度と説明している。エコマーク事業は1989年に始まり、日本環境協会が運営している
  • 自己宣言型(従来のタイプⅡ):ISO 14021に基づき、事業者が自らの責任で環境主張を行う。再生材料の使用割合や、特定の物質を含まないことなどが例に挙がる。今回改定されたガイドラインが主な対象とするのは、この自己宣言の領域
  • 環境情報の開示型(従来のタイプⅢ):ISO 14025に基づき、ライフサイクル全体の定量データを、評価や優劣の判断を付けずに開示する。環境製品宣言(EPD)と呼ばれる
  • カーボンフットプリント:ISO 14067に基づき、製品の温室効果ガス排出量を算定して表示する。環境省と経済産業省は「カーボンフットプリント表示ガイド」を2025年2月に公表している

環境省の体系図では、従来のタイプⅠからⅢという呼称に加え、環境ラベル、環境製品宣言、自己宣言型環境宣言プログラムといった呼び方も併記され、規格に準拠していない自主的なラベルや、事業者団体が運営するプログラムのうち規格の要求事項を満たさないものも、別の区分として図示されています。ラベルの有無だけでは、第三者が審査したものか、事業者が自ら宣言したものかが分かりません。表示を読む側にも、作る側にも、「どの区分のラベルか」を確認する習慣が欠かせません。

環境省が引用した消費者庁の令和6年度第3回消費生活意識調査では、「環境に配慮されたマークのある食品・商品を選ぶ」と答えた人が23.9%でした。ラベルが購買行動に一定の影響を与えていることは、その誤用が消費者の選択をゆがめうることの裏返しでもあります。

生分解性表示の措置命令から読み取れること

環境表示に関する措置命令の中でも、実務への影響が大きかったのが、2022年12月23日に消費者庁が公表した、生分解性をうたう商品の表示に関する一連の措置命令です。消費者庁の公表ページによれば、エアガン用BB弾の販売事業者5社と、カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社に対し、いずれも景品表示法第5条第1号(優良誤認)に該当する行為が認められたとして、第7条第1項に基づく措置命令が、2022年12月19日から21日にかけて出されています。このほか、釣り用品、ごみ袋やレジ袋の販売事業者も対象になりました。

消費者庁が公表した資料の整理によれば、BB弾については、使用後に環境中に残されても、微生物や水の作用で分解されるかのように示す表示が問題になりました。消費者庁が裏付け資料の提出を求めたところ、提出された資料はいずれも合理的な根拠と認められなかったと整理されています。生分解性の試験は、水系、コンポスト、土壌といった特定の条件下での好気的な分解度試験が中心で、実際の使用や廃棄の環境との違いが考慮されていなかった点が、論点として解説されています。

その後、2024年2月22日には、BB弾の販売事業者の一社に対し、第8条第1項に基づく課徴金納付命令が公表されました。令和4年度の景品表示法の運用状況では、プラスチック製品の生分解性能に関する不当表示について、計10件の措置命令が出されたと報告されています。

この事例を、他の表示に応用するときの視点

この一連の事例が示すのは、「分解される」という一言が、どの条件で、どの程度の期間に、何が起きることを意味するのかを、根拠資料と対応づけて説明できなければならない、という点です。同じ考え方は、「カーボンニュートラル」「脱炭素」「リサイクル可能」といった表示にも当てはまります。それぞれ、対象の範囲、算定の前提、期間、使用したクレジットの種類などを、表示の近くで説明できるかが、点検の中心になります。なお、これらは考え方の整理であり、個別の表示の適法性を判断するものではありません。

全体の統計としては、消費者庁が2026年5月28日に公表した令和7年度の運用状況で、措置命令は13件、課徴金納付命令は10件(総額3億3,940万円)でした。ただしこれは環境表示に限らない全体の数字であり、環境表示の件数を示すものではありません。環境表示の動向は、消費者庁の公表ページで一件ずつ確認する必要があります。

実務の確認ポイント:表示を出す前の五つの質問

ここまでの内容を、社内の表示確認に使える質問にまとめます。いずれも、環境省ガイドラインの5つの基本項目と、景品表示法の根拠資料の要件から導いたものです。

  1. この表示は、製品全体の話か、ある工程や一つの側面の話か。範囲が表示から読み取れるか
  2. 「環境にやさしい」のようなあいまいな言葉を、単独で使っていないか。使うなら、具体的な説明文が近くにあるか
  3. ライフサイクルのうち、表示が扱っていない段階に、大きな環境負荷がないか
  4. 根拠資料は、客観的に実証された内容か。試験条件や算定の前提が、表示の範囲と対応しているか
  5. 他の製品や従来品と比べる表現を使う場合、LCAや数値で比較の根拠を示せるか

これらの質問は、社内の確認フローに組み込むことで効果を発揮します。フローの作り方と体制の考え方は、社内体制・資格・キャリアで扱います。カーボンオフセットに関わる表示の論点は、カーボンオフセット表示とクレジットのリスクをご覧ください。

一次情報の確認先

本サイトは環境表示・グリーンウォッシュ規制に関する制度と業界を公開情報から整理したものであり、個別の広告表示の適法性や法的判断に関する助言ではありません。表示の可否は最新の法令・ガイドライン原文と専門家(弁護士等)にご確認ください。