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「環境にやさしい」が危うい理由を景表法から読む

ガラス瓶と紙製の商品が並ぶ棚に、無地の緑の葉型タグが掛けられている写真

本ページは環境表示に関する制度を公開情報から整理したものであり、個別の表示の適法性に関する助言ではありません。

「環境にやさしい」「地球にやさしい」「エコ」といった言葉は、商品の説明やウェブサイトで日常的に見かけます。読み手には好ましい印象を与える一方で、何がどのようにやさしいのかは、言葉だけでは分かりません。この記事では、景品表示法と環境省の環境表示ガイドライン、消費者庁の措置命令の公表資料を手がかりに、こうした表示が危うくなりやすい理由と、書き換えの手順を整理します。特定の企業の表示を評価するものではなく、制度の読み方に絞って解説します。

「環境にやさしい」は、何を約束している言葉なのか

環境省の説明資料は、グリーンウォッシュという用語に一般的な定義はなく、誤解を招く環境主張の特定には解釈の余地とグレーゾーンがあると述べています。そのうえで、改定された環境表示ガイドラインは、国際規格ISO 14021に由来する「環境に安全」「環境にやさしい」「地球にやさしい」「無公害」「グリーン」「自然にやさしい」「持続可能」などの言葉を、あいまいな表現の例として扱っています。ガイドラインが求めるのは、こうした表現を行わないか、行う場合は単独で使わず、合理的な説明文を付けることです。

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なぜあいまいさが問題になるのでしょうか。理由は、受け手によって意味が広がるためです。「環境にやさしい」という言葉を見た人は、製造時の排出が少ない、使用後に分解される、再生材料が使われている、といったさまざまな意味を思い浮かべます。事業者が実際に示したい事実が一つだけであっても、言葉が広い意味を呼び込めば、事実と印象の間に差が生まれます。景品表示法が問題にするのは、この差です。

景品表示法が見るのは、言葉と根拠の対応である

景品表示法の第5条第1号は、商品やサービスの品質などについて、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認される表示を禁じています。さらに第7条第2項は、合理的な根拠を示す資料の提出を求められた事業者が、期間内に提出しない場合や、提出した資料が合理的な根拠と認められない場合に、その表示を優良誤認表示とみなす不実証広告規制を定めています。表示が正しいことを行政が立証するのではなく、根拠を事業者の側が示す仕組みです。

環境省のガイドラインのコラムによれば、合理的な根拠を示す資料には二つの要件があります。提出資料が客観的に実証された内容であること、そして、表示された効果や性能と、資料で実証された内容が適切に対応していることです。資料が存在するだけでは足りず、表示の範囲と資料の範囲がそろっているかどうかが問われます。

環境表示での具体的な運用例として、2022年12月23日に消費者庁が公表した、生分解性をうたう表示への措置命令があります。エアガン用BB弾の販売事業者5社と、カトラリー、ストロー、カップ等の販売事業者2社に対し、景品表示法第5条第1号(優良誤認)に該当する行為が認められたとして、措置命令が出されました。公表資料の整理によれば、環境中で分解されるかのような表示について、提出された資料は合理的な根拠と認められなかったとされています。試験が特定の条件下のものであるのに対し、表示がより広い条件での分解を示していた点が、論点として解説されています。この例が教えてくれるのは、「分解される」の一言が、どの条件で何が起きることを意味するのかを、資料と対応づけて説明できなければならない、ということです。

5つの基本項目を、書き換えの手順にする

改定された環境表示ガイドラインは、最初に確認してほしい事項として、五つの基本項目を挙げています。あいまいな表現を避けること、説明文を付けること、ライフサイクル全体を考慮すること、検証に必要なデータと評価方法にアクセスできること、比較主張をLCAや数値で適切に行うことです。これを、仮の表示文の書き換えに当てはめてみます。

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  • 書き換え前:「環境にやさしい包装です」
  • 手順1(範囲を絞る):対象を、包装のどの部分、どの工程かに特定する。たとえば「外箱に再生紙を使用しています」
  • 手順2(説明文を添える):割合や条件を数値で書く。たとえば「外箱の原料のうち、再生紙の割合は○%です」
  • 手順3(全体との関係を確認する):包装以外の工程で、大きな環境負荷がないかを確認し、必要なら表示の範囲を限定する
  • 手順4(根拠を用意する):割合の算定方法と、確認した資料を、提出できる形で保管する

この書き換えでは、言葉が長くなり、印象は弱くなります。しかし、受け手が正確に理解できるようになり、根拠との対応も取りやすくなります。ガイドラインが目指しているのは、環境に関する主張を控えさせることではなく、主張を行う場合に、信頼できる形にすることです。環境省の資料は、グリーンウォッシュの防止と同時に、実際には行っている取り組みを過少にしか伝えない「グリーンハッシュ」の抑制も、制度設計の目的に挙げています。

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書き換えのもう一つの効用は、社内の議論が具体的になる点です。「環境にやさしい」という言葉のままでは、営業、広報、法務、開発のそれぞれが、違うものを思い浮かべたまま承認してしまいがちです。範囲と数値を書き出す作業を通じて、どの資料が根拠になるのか、誰が責任を持つのかが、自然に議論の対象になります。環境省の改定ガイドラインが、商品の表示だけでなく、事業活動やイメージ広告、企業姿勢といった表示まで適用範囲に含めている点も、社内の審査の対象を考える際に役立ちます。

海外向けでは、何が変わるのか

欧州の消費者に向けた表示では、ECGT指令((EU) 2024/825)が2026年9月27日から適用されています。法律事務所の解説によれば、認められた環境性能を示さない一般的な環境主張、認証制度に基づかない持続可能性ラベル、オフセットのみを根拠にした中立表示などが、あらゆる状況で不公正とみなされる行為に加えられました。日本の景品表示法では、根拠を示せれば足りる場合でも、EUでは、「環境にやさしい」のような一般的な主張そのものが、認められた環境性能の裏付けがなければ規律の対象になる点が、大きな違いです。

なお、名前のよく似た「グリーンクレーム指令案」は、2025年6月に欧州委員会が撤回する意向を発表し、環境省の資料によれば法案化の作業は事実上停止しています。ECGT指令とは別のものとして、整理して理解する必要があります。

まとめ:言葉を減らすのではなく、根拠との対応を増やす

「環境にやさしい」という言葉が危うくなる理由は、言葉が悪いからではなく、広い意味を呼び込んでしまうのに、根拠が一部の事実にしか対応していないことにあります。景品表示法は、表示と根拠の対応を問い、環境表示ガイドラインは、範囲の特定と説明文の追加という具体的な手順を示しています。制度の全体像はグリーンウォッシュ規制の全体像、国内の実務は日本の環境表示ルールと実務で詳しく整理しています。個別の表示の適法性は、最新の法令・ガイドライン原文と専門家の確認を前提に判断してください。

参照した一次情報

本サイトは環境表示・グリーンウォッシュ規制に関する制度と業界を公開情報から整理したものであり、個別の広告表示の適法性や法的判断に関する助言ではありません。表示の可否は最新の法令・ガイドライン原文と専門家(弁護士等)にご確認ください。